先日はラグビー早慶戦について、当サイトで触れました。
→ラグビー早慶戦の起源は?100年続く伝統はラグビーの精神がなければ成立しなかった
この伝統ある早慶戦が行われているのは、関東大学ラグビー対抗戦グループと言われてます。
関東の大学ラグビーには他に関東大学ラグビーリーグ戦グループがあり、対抗戦とは全く別です。
今回は関東大学ラグビーリーグ戦の歴史や、できた経緯などについて分かりやすく説明します。
この記事の内容
- 関東大学ラグビーリーグ戦グループができた理由
- 関東大学ラグビーリーグ戦グループのルールやシステム
- 関東大学ラグビーリーグ戦グループの直近の結果や見る方法
関東の大学ラグビーはリーグと対抗戦の2つがありますが、他の地区は1つだけです。
関西は関西大学リーグ
中部は東海学生リーグ
九州は九州学生ラグビーリーグ
他に、中国地区大学リーグ、四国大学ラグビーリーグ、北陸大学ラグビーリーグ、東北地区大学ラグビーリーグ、北海道地区大学ラグビー選手権
このように一本化されてます。
実はそう単純な話ではないのです。
関東大学ラグビーリーグ戦グループができた理由
関東大学ラグビーリーグ戦グループは、1967年に創立しました。
対抗戦は1928年創立ですので、約40年も後にできました。
これは参加する大学が増えたのが原因ではないのか、と思うでしょうが・・・実はそれだけが理由ではありませんでした。
それでは、歴史を辿りながらラグビーリーグ戦ができた理由を解説していきます。
ラグビー対抗戦に新興大学が参加し始める
関東の大学ラグビーは当初、以下の5校で対抗戦をしていました。
慶應義塾大学 | 早稲田大学 | 明治大学 |
立教大学 | 東京帝国大学(今の東大) |
その後、他の大学も一緒にラグビーをしたいと名乗り出て、対抗戦を始めました。
少しずつ参加大学が増え、1950年代には10校になりました。
慶應 | 早稲田 | 明治 | 東京 | 東京教育 |
中央 | 法政 | 日本 | 立教 | 青山 |
早慶が試合数を減らす
ラグビーの対抗戦は、互いのラグビー部が「やりましょう」と合意をする事で試合が成立します。
そんな中、早稲田と慶應は新しく参加した大学との試合を受けなくなります。
対抗戦のルール上、試合する相手は自由に決められるので、ルール違反ではありません。
規定の試合数さえすれば良いのです。
逆に、OKされない限りは試合ができない事に不満を持ち始める大学がでてきます。
また総当たり戦ではないので、全国大会への出場校を選ぶ基準が少し曖昧だった事も、新興大学の不満を高まらせる要因だったようです。
総当たりをするべきだと主張する大学もありましたし、今まで通り対抗戦方式でやりたい大学も居ました。
1957年には参加する大学が増えた事や複数校からの意見で、2部制の総当たり戦に変わりました。
※対抗戦方式も組み合わせている
第30回大学ラグビーリーグ戦で法政大学が優勝
これまでは、ほぼ早慶明の3校が(事実上の)優勝をしてました。
1959年の30回大学ラグビーリーグで、新興の法政大学が優勝。
以降も優勝したり、優勝争いに食い込む活躍を見せました。
一方で早慶はAリーグとBリーグに分かれたり、両方がBリーグに所属していた事もありました。
こうなると「伝統の早慶戦」なんて言っても注目度は格段に落ちてしまいます。
- チケットが売れない
- メディアの取り上げ度が下がる
- 人気の低下は部の弱体化につながる
このような事情から、伝統校は大変な思いをしていたでしょう。
部活の維持は結構大変で、部費だけで賄えるものではありません。
実力が低下したのは自身の責任ですが、ラグビーを続けていける環境を維持するのも大学関係者にとって頭を悩ませる課題だったと思います。
ついにリーグ派と対抗戦派が分裂する
主に4つの大学が主導となって、対抗戦をやりたい大学と分裂しました。
- 法政大学
- 日本大学
- 中央大学
- 専修大学
1966年、同じく関東大学ラグビー対抗戦で試合をした東洋大、防衛大、国士館大もリーググループに移籍。
さらに大東文化大学を加えた8校で、関東大学ラグビーリーグ戦グループを創立しました。
本当かどうか分かりませんが、早慶明の伝統ある大学が2部制の別々のリーグに所属するのを心配したのが1つの理由だと言われてます。
※ただし真偽は分からない
そういった伝統を重んじるグループと、ちゃんと総当たりして関東の代表を決めよう!としたいグループの意見が完全に割れてしまった事で、分裂したのです。
- 対抗戦を関東の大学でやってた
- 新規参入してくる大学が増えた
- 「総当たり戦をしよう」という意見が出た
- 実際やってみた
- リーグ派と対抗戦派で意見が割れた
- リーグ派がまとまって脱会して、リーグ戦を作った
ざっくり言うと、こういった経緯があって関東は「リーグ」と「対抗戦」の2つがあります。
どちらかというとリーググループより、対抗戦グループの方が全国大会で勝っているので、実力差はあると言えるでしょう。
関東大学ラグビーリーグ戦グループのルールやシステム
関東大学ラグビーリーグ戦は、リーグ戦形式で進みます。
当初は参加校が少なかったですが、対抗戦グループは門戸が狭いので、規模はこっちの方がデカいです。
1部8校、5部制で構成されてます。また5部にはB組があって、7人制ラグビーでトーナメントが行われてます。
関東大学ラグビーリーグ戦グループの参加校
2023年の第57回大会の結果を反映したものです。
※大学名は略称
1部 | |||
---|---|---|---|
東海大 | 流通経済大 | 東洋大 | 日本大 |
立正大 | 法政大 | 大東文化大 | 関東学院大 |
2部 | |||
拓殖大 | 専修大 | 中央大 | 山梨学院大 |
國學院大 | 白鷗大 | 朝鮮大 | 国士館大 |
3部 | |||
駿河台大 | 東京都立大 | 千葉商科大 | 防衛大 |
東京農業大 | 東京工業大 | 千葉大 | 新潟食料農業 |
4部 | |||
駒沢大 | 順天堂大 | 横浜国立大 | 埼玉工業大 |
獨協大 | 東京経済大 | 東京理科大 | 玉川大 |
5部A | |||
国際武道大 | 東京海洋大 | 芝浦工業大 | 神奈川大 |
東京外国語大 | 桜美林大 | 千葉工業大 | 創価大 |
5部B | |||
神奈川工科大 | 横浜市立大 | 麻布大 | 埼玉大 |
横浜商科大 | 文教大 | 城西大 | 北里大 |
東京国際大 |
関東大学ラグビーリーグ戦グループの進みかた
リーグ戦の始まりは9月上旬頃から。
1部が早くて、昨年は9月10日から。2部以下は9月18日から始まりました。
リーグ全ての日程は11月中に終わります。
各部で総当たり戦を1回ずつ行うので28試合。
順位が決定したら、上下のクラスと入替戦をします。
入替戦は12月上旬です。
ただし、5部リーグは2つのブロックに分かれて4校の総当たり戦と、順位決定戦が行われます。
リーグ順位の決まり方
試合の結果に応じて、勝ち点がプラスされていき、勝ち点の多い大学順に順位が決まります。
- 試合に勝利:4点
- 引き分け:2点
- 負け:0点
- 不戦勝:5点
- 不戦敗:0点
- 不成立:両方に2点
- 負けても7点差以内:1点追加
- 3トライ以上の勝ち:1点追加
勝ち点が同じの場合は、試合勝利数や得失点差などを基準に順位が決まります。
詳しいルールはこちら→関東大学リーグ戦
全国大会と入替戦
全国大会へ行けるのは1部の1位~3位です。
2023-2024シーズンは東海大・流通経済大・法政大の3校でした。
そして入替戦は、各部の上位2校と下位2校”たすき掛け”の組み合わせで1発勝負が行われます。
組み合わせは、このようになってます。
- 1部7位:2部2位
- 1部8位:2部1位
同じように2部と3部、3部と4部、4部と5部で入替戦が行われます。
1部と2部の入替戦は12月16日に。
それ以外は12月10日に行われました。(その年によって日程は変わります)
関東大学ラグビーリーグ戦グループの直近の結果や見る方法
関東大学ラグビーリーグ戦グループ2023-2024シーズンの結果はどうだったのか。
各試合を観ることはできるのか、お話します。
関東大学ラグビーリーグ各部の順位
1部 | |||
---|---|---|---|
1位 | 2位 | 3位 | 4位 |
東海大 | 流通経済大 | 法政大 | 大東文化大 |
5位 | 6位 | 7位 | 8位 |
東洋大 | 日本大 | 立正大 | 拓殖大 |
1位の東海大は1部リーグで6連覇しました。
近年は流通経済大学も強く、3位以内に収まる事が多いです。
2部 | |||
---|---|---|---|
1位 | 2位 | 3位 | 4位 |
関東学院大 | 専修大 | 中央大 | 白鷗大 |
5位 | 6位 | 7位 | 8位 |
山梨学院大 | 國學院大 | 朝鮮大 | 国士舘大 |
関東学院大は昨シーズンに1部から降格しましたが、2部1位で通過しました。
3部 | |||
---|---|---|---|
1位 | 2位 | 3位 | 4位 |
新潟食料農業大 | 東京工業大 | 駿河台大 | 東京農業大 |
5位 | 6位 | 7位 | 8位 |
防衛大 | 千葉商科大 | 東京都立大 | 千葉大 |
4部から昇格した新潟食料農業大は、今期は3部で1位と大躍進してます。
4部 | |||
---|---|---|---|
1位 | 2位 | 3位 | 4位 |
玉川大 | 駒澤大 | 獨協大 | 順天堂大 |
5位 | 6位 | 7位 | 8位 |
東京理科大 | 埼玉工業大 | 神奈川大 | 国際武道大 |
3部から降格した玉川大は踏みとどまり、4部で1位通過しましたね。
昇格してきた埼玉工業大は、6位にまで上がりました。
5部 | |||
---|---|---|---|
1位 | 2位 | 3位 | 4位 |
横浜国立大 | 東京経済大 | 東京外国語大 | 芝浦工業大 |
5位 | 6位 | 7位 | 8位 |
東京海洋大 | 桜美林大 | 創価大 | 千葉工業大 |
4部から降格した横浜国立大は5部で1位。昨シーズンで入替戦に出た東京外国語大は3位で終了しました。
この結果を見たらラグビーは、実力差がハッキリでる競技だと言えますね。
新潟食農大は2020年に谷崎重幸氏が監督に就任し、関東大学ラグビーリーグ戦グループに2021年から参加。
順調に昇格しています。
谷崎重幸氏はこれまでに東福岡高校、法政大学の監督に就任し、多数の成績を残した名監督です。
入替戦の結果
立正大 | 28-19 | 専修大 |
1部7位 | 2部2位 | |
拓殖大 | 26-38 | 関東学院大 |
1部8位 | 2部1位 |
立正大は残留。拓殖大と関東学院大は入替が起こりました。
この2校は昨シーズンも入替りました。とても実力が拮抗しているのでしょう。
朝鮮大 | 76-0 | 東京工業大 |
2部7位 | 2部2位 | |
国士館大 | 47-19 | 新潟食農大 |
2部8位 | 2部1位 |
リーグ参加から順調に上がってきた新潟食農ですが、2部昇格は果たせませんでした。
昨シーズンも2部と3部の入替戦では、2部の壁を突破できてません。
この間には、何か厚い壁があるのではないかと思います。
東京都立大 | 22-22 | 駒澤大 |
3部7位 | 4部2位 | |
千葉大 | 34-33 | 玉川大 |
3部8位 | 4部1位 |
引き分けは入替が発生しません。
神奈川大 | 21-62 | 東京経済大 |
4部7位 | 5部2位 | |
国際武道大 | 24-33 | 横浜国立大 |
4部8位 | 5部1位 |
4部と5部では2校が入れ替わりました。
各試合を観る方法
2部リーグ以下の各リーグ戦は、試合されている大学へ行けば観戦できるかと思います。
各大学それぞれで対応が違いますので、各々問い合わせをしてください。
- 1部リーグ
- 1部と2部の入替戦
この2つは有料観戦です。
チケットぴあなどで8月中旬ごろからチケットが買えます。
当日の自由席(高校・学生)は1,500円、一般自由席は3,000円です。
実際に観戦する時に知っておかないと損する話はこちら→>>ラグビーを観戦する時のオススメ情報!座席の選び方や観戦前にやっておくと損しないオススメ行動
J-SPORTSでも観れます。
オンデマンド配信ですので、いつでもどこでも好きな時に。
まとめ 関東大学ラグビーリーグ戦グループの誕生と苦悩
引用:Google Map
関東大学ラグビーリーグ戦グループは、対抗戦と”ある意味”ケンカ別れしたような形で始まりました。
そのため、当初は一気に全体のレベルが下がってしまいました。
ですが、関東学院大や法政大、大東文化大はこれまでに全国で優勝した事があります。
確かに対抗戦グループと比べるとリーググループは注目度も人気も低いですが、実力差はそこまで開いているとは言えません。
いつの日か両グループが統合すれば・・・とは思います。
難しいでしょうけどね。