2023年ラグビーワールドカップの日本代表キャプテンは姫野和樹選手でした。
それ以前のキャプテンは誰かというと、多くの人が知っているのはリーチ・マイケルでしょう。
第10回大会でもフォワード(左フランカー)として活躍しました。
では、リーチより前にキャプテンを務めてたのは誰なのか。
どんな人がキャプテンを任されていたのか、気になったので簡単に振り返ってみましょう。
ラグビー日本代表の歴代キャプテン第9回大会までの9人
ラグビーワールドカップでキャプテンを務めた人は、前回の第9回大会までで合計9人です。
9人の歴代キャプテンについて、どんな人だったのか簡単にご紹介します。
林敏之
ラグビーワールドカップの第1回大会でキャプテンを務めたのは、林敏之さんです。
徳島県出身で、神戸製鋼に在籍してました。
ポジションはロックと言って、外からボールを投げ入れる時、高く持ち上げてもらう人です。
もちろん身長が高い方が有利なのですが、林選手の身長は184cm。これでも低い方でした。
「世界一小さなロック」と言われてましたが、強烈なぶつかり合いを繰り出すことから「壊し屋」と呼ばれてました。
相手 | 結果 | 試合日 |
---|---|---|
アメリカ | ●18-21 | 1987.5.24 |
イングランド | ●7-60 | 1987.5.30 |
オーストラリア | ●23-42 | 1987.6.3 |
第1回大会は3戦3敗で終わってしまいました。
平尾誠二
第2回ワールドカップのキャプテンは、平尾誠二さん。
ポジションはバックス(スリークオーターバックス)といって、縁の下の力持ちです。
第1回~3回まで出場し、第4回では日本代表の監督を務めました。
「ミスターラグビー」と言う異名がつけられました。
そんな平尾さんは高校の時の京都府大会で準優勝。
あまりの悔しさに、準優勝トロフィーを投げ捨てて帰った。こんなエピソードがあります。
ちなみに、その翌年は府大会を突破して全国へ。
さらに翌年は全国大会で初優勝しました。
相手 | 結果 | 試合日 |
---|---|---|
スコットランド | ●9-47 | 1991.10.5 |
アイルランド | ●16-32 | 1991.10.9 |
ジンバブエ | ○52-8 | 1991.10.14 |
第2回ワールドカップで初白星を獲得しました。
薫田真広
第3回ワールドカップで日本代表のキャプテンを務めたのは、薫田真広さん。
ポジションはフォワード(フッカー)で、スクラムを組んだ時に最前列のど真ん中に立つ人です。
現役引退後の話ですが、様々な選手を指導して起用し、才能を開花させる名指導者として活躍しています。
相手 | 結果 | 試合日 |
---|---|---|
ウェールズ | ●10-57 | 1995.5.27 |
アイルランド | ●28-50 | 1995.5.31 |
ニュージーランド | ●17-145 | 1995.6.4 |
第3回にして日本代表はオールブラックス(ニュージーランド)とグループリーグで初対戦。
仕方がないとはいえ、記録的な大敗をしてしまいました。
この時薫田さんは、こう言いました。
「自分の経験を伝えられることはすべて伝えて、できる限りのことをやっていこう。それがあの試合のキャプテンとしての責任の取り方だ」
そして2000年に現役を引退。東芝の監督に就任して、3連覇を達成しました。
のちに日本代表のコーチや、アシスタントコーチ、戦略室長を担当。
引退後もラグビー日本代表を支えたのは、薫田さんと言っても良いでしょう。
アンドリュー・マコーミック
第4回ワールドカップに出場した時のキャプテンは、アンドリュー・マコーミックさんです。
日本代表で初めての外国人選手キャプテンでした。
愛称は「アンガス」
ですが、試合中は顔を真っ赤にして迫力あるプレーを魅せていたことから「赤鬼」とも呼ばれてました。
ニュージーランド出身で、1993年に東芝府中に加入。1996年からの3連覇に貢献しました。
相手 | 結果 | 試合日 |
---|---|---|
サモア | ●9-43 | 1999.10.3 |
ウェールズ | ●15-64 | 1999.10.9 |
アルゼンチン | ●12-33 | 1999.10.16 |
第4回も3戦3敗でグループリーグ敗退で、日本はなかなか国際大会の大舞台で勝てませんでした。
箕内拓郎
第5回と第6回でキャプテンを務めたのが、箕内拓郎さん。
関東学院大学を卒業後、イギリスのオックスフォード大学へ留学した経験があります。
その国際経験・英語力・キャプテン経験・プレー技術で、日本代表に選ばれたのと同時にキャプテンに指名されました。
イギリスと言えばラグビー大国。その国のトップ大学のラグビー部で、一軍の選手でした。
異名は「ミスター・キャプテン」
第6回ワールドカップの1年前にキャプテンを大畑大介選手に譲りましたが、直前になり故障したため、2大会連続でキャプテンを務めました。
相手 | 結果 | 試合日 |
---|---|---|
スコットランド | ●11-32 | 2003.10.12 |
フランス | ●29-51 | 2003.10.18 |
フィジー | ●13-41 | 2003.10.23 |
アメリカ | ●26-39 | 2003.10.27 |
フィジー | ●31-35 | 2007.9.12 |
ウェールズ | ●18-72 | 2007.9.20 |
カナダ | △12-12 | 2007.9.25 |
勝ち星は付いてないものの、得失点差があまり出なくなってます。
日本代表が少しずつ強くなってきた証拠です。
佐々木隆道
佐々木隆道選手は、第6回ワールドカップの初戦にキャプテンを務めました。
啓光学園高等学校出身で、在学中は3年連続で花園に出場。
3年の時に優勝しました。
大学は名門の早稲田。主将も務め、大学日本一に導きました。
4年の時には早稲田の主将として、強豪トヨタ自動車に勝利。
ニックネームは「タカミチ」「みったん」だったそうです。
相手 | 結果 | 試合日 |
---|---|---|
オーストラリア | ●3-91 | 2007.9.8 |
史上最年少のゲームキャプテンを務めましたが、試合中に負傷して離脱してしまいました。
菊谷崇
菊谷崇さんは第7回ワールドカップで日本代表のキャプテンでした。
これまでにキャプテンの経験はなく、菊谷さんも周りの選手も予想してなかったそうです。
ですが当時、フォワード選手の中で世界で2番目に多くトライを取っていた成績があります。
さらにワールドカップ試合後のインタビューでは、常に英語で答えるなど、キャプテンらしい力量を持ち合わせてました。
相手 | 結果 | 試合日 |
---|---|---|
フランス | ●21-47 | 2011.9.10 |
ニュージーランド | ●7-83 | 2011.9.16 |
トンガ | ●18-31 | 2011.9.21 |
カナダ | △23-23 | 2011.9.27 |
トンガ戦はこれまでにデータはありませんが、全体的にまた得失点差が詰まってます。
リーチ・マイケル
奇跡が起きた第8回ラグビーワールドカップの日本代表。
そして第9回でもキャプテンを務めた選手がリーチ・マイケルです。
ニュージーランド出身で、15歳の時に日本に留学。
東海大学の体育学部に進学してラグビー部に所属しました。
行動力が高く、来日決定の1ヶ月後には札幌に居たそうです。
ポジションはフランカーといって、よく相手にタックルをします。
低い姿勢から刺すようなタックルを当て、ワールドカップで何度も相手選手を止めるシーンがありました。
そんな精神力の強さが、リーチ選手の魅力です。
相手 | 結果 | 試合日 |
---|---|---|
南アフリカ | ○34-32 | 2015.9.19 |
スコットランド | ●10-45 | 2015.9.23 |
サモア | ○26-5 | 2015.10.3 |
アメリカ | ○28-18 | 2015.10.11 |
ロシア | ○30-10 | 2019.9.20 |
スコットランド | ○28-21 | 2019.10.13 |
南アフリカ | ●3-26 | 2019.10.20 |
第8回(2015年大会)の初戦、南アフリカ戦でのオッズは、南アフリカが「1倍」日本が「34倍」でした。
それだけ力の差があったのですが、まさかまさかの勝利。
勝利の決め手は、キャプテン・リーチの最後の決断でした。
ヘッドコーチは「ペナルティキックで3点を狙え」と指示を出しましたが、リーチ選手は「スクラムを組んでトライの5点を狙う」と決めました。
結果は逆転勝利。スポーツ史に残るほどの奇跡が起こりました。
ですが、実際は南アフリカ用の対策と地獄の練習によるものだと言われてます。
ピーター・ラブスカフニ
第9回ワールドカップ日本大会でキャプテンを2回務めたのが、ピーター・ラブスカフニです。
愛称はラピース
その後も日本代表のキャプテンを務め、第10回に向けた試合でも活躍しました。
南アフリカ出身で2016年から日本のクボタに所属。
2019年に日本代表に選ばれました。
タフさとリーダーシップがあり、当初からキャプテン候補だったようです。
ピーター選手はこんな事を言ってました。
「どんな環境であっても、自分ができることを一生懸命やる、努力することが何よりも大事だと思います」
相手 | 結果 | 試合日 |
---|---|---|
アイルランド | ○19-12 | 2019.9.28 |
サモア | ○38-19 | 2019.10.5 |
第9回の大会はグループリーグで4戦全勝し、ベスト8にまで上がりました。
もちろんラグビーは総合力が全てですが、ピーター選手のリーダーシップも勝利に貢献したのではないでしょうか。
ラグビーのキャプテンは他のスポーツとは違う
ここで小休止。
キャプテンは試合中に何をしているのか。
どんな役目があるのかを簡単に解説します。
ラグビーのキャプテンは実質コーチ
ラグビーのキャプテンは試合中、チームに多くの指示を出してます。
まるでヘッドコーチ(監督)です。
野球やサッカーは監督から直接プレーヤーに指示が出ますが、ラグビーはキャプテンが指示を出している。
ここが最大の違いです。
このように思いがちですが、コーチからキャプテンに直接、指示が行く事はありません。
ヘッドコーチはマイクを使って、ピッチ近くに居るスタッフに指示を飛ばす事はできます。
スタッフから伝令されてキャプテンに伝わります。
もちろん試合中に、こんな回りくどい事はできません。
ですので試合前にだいたいの意思疎通を完了させておき、あとはキャプテンの采配に任せられます。
チームを引っ張れるリーダーシップ
ラグビーはチームの総合力が全てです。つまり連携がカギ。
キャプテンの采配がイマイチだと、チームの力が発揮できません。
ですのでラグビーの技術力も求められますし、誰からも認められるような人でないと、到底チームをまとめる事はできません。
そのため、ポジション的には司令塔になるナンバーエイトが、キャプテンを務める傾向が強いです。
スクラムを組んだ時は、最後尾に居ます。
ちなみに、ボールを横から入れる人は9番(スクラムハーフ)です。
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審判とコミュニケーションを取る
試合中にレフリーとコミュニケーションを取るのもキャプテンです。
ですので、ワールドカップのような国際試合では英語でコミュニケーションを取る事は当たり前。
英語が分からないようでは、基本的にキャプテンは務まりません。
レフリーも人間です。人によって裁定にズレがあるので、コミュニケーションを取ることで「どうすれば良かったのか」というアドバイスを聞けます。
できるだけファウルを避けて、ペナルティを取られないようにするのも1つの戦略です。
次は、最近のラグビー日本代表になった4人を紹介します。
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