今回は、こんな人に向けて女子ラグビーの歴史や、男子との違い、ラグビー女子日本代表の歴史を分かりやすくお話します。
この記事の内容
- 女子ラグビーはいつ始まったのか
- 女子ラグビーは男子と何か違うのか
- ラグビー女子日本代表の世界ランクや成績
ぜひこの機会に女子ラグビーの事を更に知り、推しを見つけてみてください。
女子ラグビーの歴史。日本代表の成立までは苦難だった
ラグビー自体の歴史は1820年~1830年頃から始まりました。
ですが、最初は男子だけ。女子は結構あとから参加してます。
世界規模で見た場合、女子チームの誕生は1965年にフランスで。
1970年代にはイングランド、アメリカ、カナダで女子ラグビーチームが発足してました。
では、日本はいつ出来たのでしょう・・・
日本の女子ラグビーは1980年代から
日本にラグビーが伝わったのは1899年と言われてて、100年以上の歴史があります。
ですが、とても激しく、ケガも多いスポーツなので女性がする事はありませんでした。
ラグビーの人気はあるので、息子をラグビースクールに通わせていた家庭はありました。
当時はまだ女性プレーヤーが居ませんが、女子の参加を禁止しているワケではなく
募集要項には「男女不問」とあったので、女性が応募したことから女子ラグビーが始まりました。
これが後の世田谷レディースです。
※1983年には東京、名古屋、松阪でほぼ同時に女子チームが誕生してます。
初の女子ラグビー試合
発足の翌年、1984年には女子ラグビーの試合が行われました。
世田谷のチームが名古屋の方へ遠征して、名古屋・松阪のチームと試合をしました。
こうして女子ラグビーの交流が始まります。
- 実際にプレーしている人が居るのか
- 交流のためにも連絡会を作ろうと思うけど、どう?
このようなアンケートを全国のラグビーチームに送った所、15チーム全てから賛成の回答がありました。
ですが、現実的には移動が大変なため、関東と名古屋あたりでの交流のみにしてました。
連盟の発足と全国大会の開催
1988年4月、日本女子ラグビーフットボール連盟が創立しました。
そして11月には第1回の交流大会が開かれました。
首都圏以外にも青森の八戸、十和田。新潟、和歌山、福岡からも参加があり、大会はとても盛り上がりました。
この大会は今でも行われていて、名称を変えて「全国女子ラグビーフットボール選手権大会」になってます。
この大会は、唯一の女子ラグビー全国大会です。
ラグビー女子日本代表の選手は、主にこの全国大会で優勝したチームや準優勝したチームから選ばれてます。
参考:女子ラグビー15年の歴史
全国女子ラグビーフットボール選手権大会の開催時期は、1月終盤~2月頭にかけて。
会場のチケットは販売されてますし、ネット配信もあります。
女子ラグビーと男子ラグビーの違いは
女子ラグビーのルールは、男子と同じです。
特別なルールは、ありません。
何が違うのかというと、プレーしている選手の性別だけです。
ですので女子の試合であっても、激しくタックルする事もありますし、スクラムも普通に組みます。
参考:OTEMON VIEW
ハッキリ違いがあるとすれば、男子のようなリーグ・ワンが無い事です。
女子15人制チームはありますが、全国規模で総当たり戦ができるほどの数がありません。
関連記事:ラグビーリーグワン2023-2024シーズン中盤戦に突入!第5節までの順位表と注目ポイント
女子ラグビー日本代表
女子日本代表(15人制)の愛称は、サクラフィフティーンです。
2023年10月に参加した時のヘッドコーチは、カナダのレズリー・マッケンジー。
カナダの女性ラグビー、元選手でもあり指導者でした。
主将は、長田いろは。
ARUKAS QUEEN KUMAGAYAに所属している右フランカーです。
フランカーは総合的な能力が必要とされるポジションで、皆から頼りにされます。
そんなポジションである事から、フランカーがキャプテンになる事が多いです。
ラグビー女子日本代表の歴史。ワールドカップの初勝利は
ラグビー女子日本代表ができた時期は定かではありませんが
1991年に女子ラグビーワールドカップが開催され、日本が招待された事で発足したと思われます。
このワールドカップが、ラグビー女子日本代表の最初の国際試合でした。
全然勝てなかった日本代表
第1回ワールドカップは3戦3敗でした。
しかもこの時は連盟からの補助も全然なく
- 全額、自己負担
- 選手だけで渡航
- コーチ、ドクターなし
- 選手兼、監督兼、団長という人が居た
こんな環境から始まりました。
4年後の第2回ワールドカップにも出場し、この時にスウェーデンに勝利します。
これがラグビー女子日本代表の初勝利でした。
しかしアメリカ戦で0-121で大敗した事もあって、ある意味で記録だらけのワールドカップでした。
※このアメリカ戦が日本代表の最大点差の負け記録
第3回は参加が認められませんでした。理由は
と一蹴されてしまいました。
ですので、1998年からは積極的に海外遠征して試合するようになりました。
女子が先に2勝目を挙げるが・・・
ワールドカップで日本代表が2勝目を挙げたのは、実は女子が先でした。
2002年の第4回ワールドカップでオランダに勝利。
着実に実力を付けてきました。
ですが、第5回大会から出場枠が16から12に減った事もあり、アジア予選敗退が続いてしまいます。
第7回まで出場できず、16年間ワールドカップの舞台に立てませんでした。
いずれもカザフスタンに負けてます。
ワールドカップ2017年の大会は、カザフスタンが予選不参加。
香港とフィジーを破って1位突破し、16年ぶりに出場決定しました。
結果は予選プール最下位ですが
- 対フランス:14-72
- 対アイルランド:14-24
- 対オーストラリア:15-29
どこも強豪ですが、0点で終わってません。
少しずつ、強い国といい勝負をするようになってきます。
ラグビーワールドカップ2021(第9回)
ラグビー女子日本代表は第8回に続き、第9回も参加しました。
- アジア大会で日本代表が1位
- プールBに振り分けられる
- 結果は0-3でプール予選落ち
ですが、また実力が上がっている事が分かります。
ラグビー女子日本代表の戦績は
- 対カナダ:5-14
- 対アメリカ:17-30
- 対イタリア:8-12
と、イタリアとは4点差にまで縮まってます。
かつては0-121で負けたアメリカとは、13点差にまで縮まりました。
カナダとは第2回に対戦した事があり、0-57でした。
その時に比べると、かなり日本女子ラグビーが強くなっていると感じますね。
次回は2025年にイングランドで。次々回は2029年オーストラリア。その次は2033年にアメリカで開催される予定です。
ラグビー女子日本代表の世界ランキングと今後の展望
2024年2月段階、最新のラグビー女子日本代表のランキングや
次のワールドカップ。別に開催されている国際試合の話をします。
ラグビー女子日本代表の世界ランキング
2023年10月16日付けでラグビー女子日本代表の世界ランキングは11位です。
※2024年2月現在
世界ランキングの導入は2016年で、日本代表は17位からスタートしました。
2019年くらいにはランキングが確定してきて、日本代表の順位は12位くらいに落ち着きます。
2023年には10位まで上がりましたが、WXVという国際試合でイタリアに負けて11位になりました。
今のラグビー女子の世界ランキング
順位 | チーム | ポイント |
---|---|---|
1 | イングランド | 96.18 |
2 | ニュージーランド | 90.56 |
3 | フランス | 87.89 |
4 | カナダ | 86.27 |
5 | オーストラリア | 81.61 |
6 | ウェールズ | 76.67 |
7 | イタリア | 75.61 |
8 | スコットランド | 74.37 |
9 | アメリカ | 72.02 |
10 | アイルランド | 71.52 |
11 | 日本 | 69.38 |
12 | スペイン | 64.89 |
13 | 南アフリカ | 64.37 |
14 | ロシア | 61.10 |
15 | オランダ | 60.02 |
16 | サモア | 59.57 |
17 | フィジー | 58.65 |
18 | 香港 | 58.31 |
19 | スウェーデン | 56.01 |
20 | カザフスタン | 55.97 |
上位20チーム(2024年2月19日時点)
参考:World Rugby
次のワールドカップは、ほぼ確実に出れる?
次回の女子ラグビーワールドカップは2025年に開催される予定です。
開催国はイングランド。
第5回から第9回まで12チームの参加でしたが、第10回からは再び16に増えます。
この事で日本代表の出場は濃厚です。
- アジア内でのランクはトップ
- WXVでも日本と同等以上のアジアチームが居ない
という事から、次の女子ラグビーワールドカップの出場はほぼ確実だと言えます。
ですが、ワールドカップで勝てるかどうかは別です。
国際大会WXVとは?日本代表の成績はどんな感じ?
WXVはワールドラグビー主催で2023年に新設された、15人制の女子ラグビー国際大会です。
- 18チームが所属
- 6チームが3つの部に分かれて対戦する
- 総当たり戦で順位を決定する
- 入れ替えも行われる
ラグビー女子日本代表は、いわゆる2部のWXV2に所属してます。
最新の2023年(第1回大会)は、WXV2で4位の成績でした。
どのようにして試合が進むのかというと
WXV2に所属する6チームが2つに分かれます。
実際の戦績 | スコットランド | イタリア | サモア |
---|---|---|---|
日本 | ●7-38 | ●15-28 | ○32-10 |
アメリカ | ●14-24 | ●8-30 | ○36-26 |
南アフリカ | ●17-31 | ●18-36 | ○33-7 |
AはAのチームと対戦せず、Bの3チームと総当たり戦をします。
日本、アメリカ、南アフリカは1勝2敗。
スコットランドとイタリアは3勝で、サモアは3敗でした。
順位 | チーム | 勝ち点 | 得失点差 |
---|---|---|---|
1 | スコットランド | 15 | 55 |
2 | イタリア | 15 | 53 |
3 | 南アフリカ | 5 | -6 |
4 | 日本 | 5 | -22 |
5 | アメリカ | 5 | -22 |
6 | サモア | 1 | -58 |
勝ち点などを基準に、順位が決定します。
日本が4位なのは、トライ数と被トライ数の差がアメリカよりも少ないからです。
- 日本→8トライ/11被トライ
- アメリカ→9トライ/13被トライ
6位になったサモアと、WXV3で1位だったアイルランドが入れ替わります。
入替戦はありません。6位と1位が自動で入れ替わります。
次回は2024年に南アフリカで開催が決定。毎年行われます。
ですが、ワールドカップがある年は、WXVの大会がありません。
WXVは10月に試合が行われますし、9試合と多くないので、日本でも開催される可能性があります。
ぜひ日本で開催された時は、ラグビー場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
日本開催のテストマッチもある
太陽生命 JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIESというテストマッチも行われてます。
2024年も開催されると思われます。
「テストマッチ」と言われてますが、国の代表同士で試合をする公式なものなので、遊びではありません。
2023年は9月に2回、フィジー代表と試合をしました。
福岡のJAPAN BASEと、東京の秩父宮ラグビー場で行われました。
試合を観る方法は、ネット配信もしくは会場へ実際に足を運ぶ。この2つです。
ネット配信は>>J-SPORTSで。チケットは>>JAPAN RUGBYチケット購入のご案内をチェックしてください。
女子ラグビーの悩み
女子のラグビー競技者は少しずつ増えてきてます。
ですが日本では環境が整ってなくて、なかなか女子選手が増えてません。
- 保護者を含めた、周囲の理解が得られにくい
- OGがラグビーに触れる機会が少ない
- 学校のクラブが少ない
そもそもラグビーの競技人口も減少傾向で、大変な時代になってきました。
日本女子ラグビーフットボール連盟は、何とかせなアカンと思い、全体のレベルアップに動いてます。
女子ラグビー界、今後の動き
日本女子ラグビーフットボール連盟はニュージーランドやオーストラリアと連携し、国際試合をする約束を取り付けました。
ざっくりですが
ニュージーランドとは2024年~2027年にかけて。
オーストラリアとは2024年~2029年まで、代表との対戦をするようお願いをしました。
参考:ニュージーランドラグビー協会(NZR)との覚書締結のお知らせオーストラリアラグビー協会(Rugby Australia)との覚書締結のお知らせ
試合についてだけでなく、チームの交流も含まれてます。
実際、ニュージーランドのチームに齊藤聖奈選手が2024年シーズンから加入する運びです。
※齊藤聖奈選手は三重のPEARLSに所属していて、主将。
更なる、ラグビー女子日本代表のレベルアップが期待できそうですね。
まとめ ラグビー女子日本代表はまだまだ強くなる
まだラグビー女子日本代表は、国際試合であまり勝ててません。
ですが、過去に比べると実力が上がっている事が分かります。
- 国際試合が毎年行われること
- テストマッチもできた
- 強豪国との連携もあり
これから、まだまだ強くなりそうですね。
今後の活躍に期待しましょう。
強いチームを応援するのも気持ち良いですが、発展途上のチームを応援して、成長を支えるのも面白いですよ。
応援しているうちに、日本代表メンバーの中から”推し”が見つかるかもしれません。
ラグビー女子日本代表のメンバーはこちら→女子日本代表Japan Rugby